「もっと自分らしく生きたい」
「他人に振り回されずに、自分の人生を選びたい」
「もう誰にも縛られたくない」
そんな声を、私たちはあちこちで耳にします。
実際、現代の風潮としても“自立”や“自己表現”が強く求められています。
しかし――
その強い自立願望こそ、実は深い依存状態の裏返しであるとしたら?
今回は、「依存からの解放」を求めながら、知らず知らずのうちに外的なものに囚われている私たちの姿を掘り下げてみます。
第1章 “足かせを捨てたい”という願いが生まれる背景
現代人の多くが、自分らしさを求めるようになったのは、かつての“依存的な価値観”への反発が背景にあります。
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家族や会社に従属する生き方
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ルールや常識に合わせることが正義とされる空気
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「我慢してこそ大人」という教育
これらに疲弊し、違和感を抱いた人々は、やがて「もっと自由に」「もっと自分らしく」という願いを持つようになった。
この傾向自体は、成熟した社会への歩みと言えるかもしれません。
しかし、そこに“見落としている視点”があるのです。
第2章 “自由になりたい”という叫びの裏にあるもの
「自分を主張したい」「縛られたくない」と言いながら、なぜか心は不安定で、満たされない。
その理由は、“内的な軸が育っていないまま、外的なものに依存している”からです。
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他人の態度に一喜一憂する
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SNSの反応がないと不安になる
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自分の思い通りにならないと被害者意識を持つ
つまり、他者の評価や状況という“外的要因”に依存して、自分の感情をコントロールされているということです。
一見「自分らしく生きたい」と言いながら、その実、“他者がこうしてくれれば自分は幸せになれる”という考えに縛られている。
これこそが、“自由を装った新たな依存状態”なのです。
第3章 依存の本質は「自分の外に力がある」と思うこと
依存とは、単に誰かに頼ることではありません。
「自分の感情や幸せは、自分以外の何かによって決まる」
という思い込みこそが、真の依存です。
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他人が機嫌よくしていないと自分も不安になる
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誰かに承認されないと行動に自信が持てない
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環境が整っていないとやる気が出ない
こうした状態は、“他者や環境に主導権を渡している”状態に他なりません。
つまり、外的要因への依存が、自立のつもりでいた自分を支配しているのです。
第4章 被害者意識は依存のサイン
「こんな状況になったのは、相手のせいだ」
「もっとわかってくれる人がいればうまくいったのに」
そんな言葉が浮かんでくるとき、私たちは無意識のうちに“被害者のポジション”に立っていることが多い。
これはまさに、「問題は外にある」という依存的な思考の現れです。
被害者であるかぎり、変わるべきは「相手」であり、「自分」ではありません。
だからこそ、状況も感情も、いつまでも変わらないのです。
第5章 本当の自由とは、“自分の内側”に戻ること
依存状態から抜け出し、本当の意味で自分を生きるためには、「力の源泉は自分の内にある」という感覚を取り戻す必要があります。
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自分の感情は自分で選べる
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行動を決めるのは他人ではなく自分
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誰かがどうであれ、自分はどうありたいかを考える
このように、内側に軸を持つことが、真の自立への道です。
「自由になりたい」と願うなら、まず他者や環境に対する“反応”ではなく、自分から“選択”していく意志が必要なのです。
おわりに
“自由を求める声”の裏には、実は“コントロールされることへの恐れ”が隠れています。
けれど、その恐れを手放すには、外に答えを求める依存状態から、内なる選択に目を向ける勇気が必要です。
本当の意味で自分を生きるとは、「どうすれば状況が変わるか」ではなく、「自分がどう変わるか」を問い続けること。
そこにこそ、依存からの解放と、心からの自由が待っています。
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