人生には二つの創造がある。
一つは「心の中で描く創造(第一の創造)」、もう一つは「実際に行動してつくる創造(第二の創造)」だ。

この第一の創造を自分自身が担っていなければ、気づかぬうちに、誰か別の人があなたの人生の設計図を描いてしまう。


第1章 気づかぬうちに「誰かの人生」を生きていないか?

こんな相談を受けたことがある。

「気づけば親の期待通りの仕事に就き、上司に言われた通りのキャリアを歩み、同僚と比べて落ち込む日々です。でも、これって自分の人生でしょうか…?」

これはまさに、「第一の創造」を自分の手で描いていない典型例だ。
目的もビジョンも、他人の目や期待に合わせて決まっている状態では、自分の人生のハンドルは他人が握っている。

そしてそのまま「第二の創造」、つまり日々の行動や仕事も、他人の設計図に従って組み立てられていく。
その結果、やりがいを感じず、時間だけが過ぎていく。


第2章 第一の創造とは何か?

第一の創造とは、「自分がどう在りたいか」を明確に思い描く力である。
それは、職業の選択、人生の目的、日々の選択といった、あらゆる行動の“原点”になる。

ここで大切なのは、「理想の未来」をただ妄想することではない。
それが本当に自分にとって意味があるのか、価値観に根差しているのかを考え抜くことだ。

たとえば、「年収1000万円稼ぎたい」という目標も、その理由が「人からすごいと思われたい」のであれば、外側の評価に支配された第一の創造だ。

一方で、「家族との時間を増やすために、経済的自由がほしい」というのであれば、それは自分の価値観から出た設計図と言える。


第3章 他人の設計図でつくられた人生の結末

私が以前指導した、40代後半のあるビジネスマンは、社内評価も高く、年収も申し分なかった。
しかしある日、彼はこう漏らした。

「自分がいま築いているキャリアって、20代のとき親に勧められた方向に進んだ結果でしかないんです。気づけば“自分の本心”を置き去りにしてきた気がします」

彼は長年、会社からの評価を得ることを目的に働いてきた。
だが、自分の内なる声に耳を傾けたとき、「本当にやりたかったのは、地域で教育支援をすることだった」と気づいた。

その後、彼はキャリアを再設計し、現在は地元のNPOの理事として若者の進路支援に関わっている。

他者の期待に応える人生から、自分の想いに忠実な人生へとシフトしたのだ。


第4章 第一の創造を自分で取り戻すための3ステップ

自分の価値観を明確にする

何に心が動くのか。怒りや喜びの根源にある「自分の大切にしているもの」を言語化する。

理想の在り方を描く

5年後、10年後、どんな日々を送りたいのか。「肩書き」ではなく「在り方」に注目する。

日々の行動を再設計する

第一の創造をもとに、やるべきこと・減らすべきことを整理し直す。自分の時間に主導権を取り戻す。

この3ステップを意識することで、人生の設計図を自分で描きなおすことができる。


第5章 まとめ:あなたの人生を「あなた」が創るという覚悟

第一の創造は、意識しなければ他人の手に委ねられてしまう。
そして、その委ねた結果に対する責任も、自分が背負うことになる。

だからこそ、今この瞬間から、「誰のための人生なのか」を自分に問い続けなければならない。

あなたの人生は、あなたが創るものだ。
そしてそれは、どんな立場や状況にあっても、いつでも再出発できる。