「こんなはずじゃなかった」
「自分の人生なのに、誰かに決められている気がする」
そんな思いを抱えたまま日々を過ごしている人は多い。

忙しい日々の中で、誰かの期待に応えようとしてばかりいると、自分の声がどこかに消えていく。
気づけば、選んでいるつもりで、実は流されていただけだった──ということも少なくない。

人生の進路が思い通りにならないとき、その原因は「第1の創造」、つまり“自分の中でまず思い描く力”が育っていないことにある。
目の前の現実は、かつて自分が描いたイメージの結果であり、それがないまま進んでいけば、他人や環境に人生を明け渡すことになる。


第1の創造とは「人生の設計図」

建物には設計図がある。
完成する姿をまず頭の中で描き、それを現実にしていく。
人生もまったく同じである。

自分の価値観に基づいて「どんな人間でありたいのか」「何を人生で成し遂げたいのか」を描けていないと、現実は外から与えられた期待やノルマに支配される。
大切なのは、他人ではなく、自分自身が設計者である という自覚だ。

しかし、現代社会では情報も人間関係も忙しすぎて、「立ち止まって考える時間」そのものが奪われがちだ。
そのために、自分が主導権を持って生きていないことにさえ気づけなくなる。


「責任」という言葉の意味を再定義する

責任という言葉は、重たく聞こえる。
しかし、語源をたどれば「Response-ability」、つまり“反応する能力”を意味する。
他人や環境に振り回されるのではなく、自分の価値観や目的に照らして、どう反応するかを選べる力こそが責任である。

過去の出来事や周囲の言動を理由に、感情的な言動を繰り返すのではなく、「私はどう反応するべきか」「どうありたいか」を自覚し、選びとること。この力が育つと、人生はコントロール可能なものへと変わっていく。


実績例:企業リーダーが“創造”を取り戻した瞬間

ある製薬会社の課長職Aさんは、長年部下のマネジメントに悩んでいた。
「どうしたらやる気を出してくれるのか」「部下がついてこない」と嘆いていたが、個別面談の場で私は彼にこう伝えた。

「部下の変化を期待する前に、あなた自身の“ありたい姿”を明確に描いてみてください」

Aさんは戸惑いながらも、自分が理想とするリーダー像、働きたいチームの姿をノートに書き出した。
数週間後、「ようやく自分の役割が腑に落ちました」と話してくれた。

その後、会議の進め方、部下への声かけ、朝の習慣までが変わり、半年後にはチーム内の離職率が半減した。
行動の変化の前に、意識の創造があった のだ。


あなた自身が“設計図”を描くための3つのステップ

1.静かな時間を意識的につくる

スマホも仕事もシャットアウトした15分を確保し、自分の“理想の人生の一日”を描いてみる。書き出すことで輪郭がはっきりしてくる。

2.問いを持ち続ける

「私はどうありたいか?」この問いを一日に何度も自分に投げかける。
問いが意識を導き、選択の質が変わる。

3.選択の前に立ち止まる習慣をつける

誰かに言われたままに反応するのではなく、「これは自分の人生にふさわしい選択か?」と一呼吸置くクセをつける。


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「頑張ってきたけど、これが本当に自分のやりたいことなのかわからない」
「誰かに認められたい。
でも、本当はもっと自由に生きたい」

そんな声を、これまで何百人もの社会人から聞いてきた。
自分の人生なのに、どこか「借り物」のように感じてしまうとき、それは第1の創造が他人任せになっているサインだ。

最初の一歩は、「自分で選んだ」という感覚を取り戻すこと。
小さなことでもいい。
朝食を自分で決める。
服を自分で選ぶ。
やりたくない誘いを断る。
そうやって少しずつ、「人生の設計者は自分だ」という意識が育っていく。


まとめ:人生の舵を握る覚悟

日々の生活の中で自覚を育て、責任を持って“第1の創造”を行えるようにならなければ、自分の人生の行方を、他人や状況に明け渡してしまうことになる。

人生は“自分が思い描いたとおりにはならない”かもしれないが、“思い描いた範囲内でしか実現しない”のもまた事実。
だからこそ、今日という一日を、自分の手で描くことから始めよう。
舵を握るのは、あなた自身だ。