人は、「自分はこんな性格だから」「昔からこういう癖があるから」と言い訳をしてしまうことがある。
だが本当にそうだろうか?
私たちは自分で自分の行動を選ぶことができる存在だ。
たとえ長年しみついた自滅的なパターンがあったとしても、それを変えることは可能だ。
怒りをぶつけてしまう、つい後回しにしてしまう、自分を信じられない──
そんなパターンに気づき、手放すことが第一歩となる。
習慣とは選択の繰り返しだ。 選択が変われば、習慣が変わり、習慣が変われば、人生が変わる。
衝撃を抑え、価値観に従って行動する能力こそが主体的な人の本質である。
反応的な人は、その時どきの感情や状況、条件づけ、自分を取り巻く環境に影響を受ける。
主体的な人は、深く考えて選択し、自分の内面にある価値観で自分をコントロールできるのである。
自分の意識が関心の輪に向いているのか、影響の輪に向いているのかを判断するには、自分の考え方が持つ(have)とある(be)のどちらなのかを考えてみればいい。
関心の輪は、持つという所有の概念であふれている。
「家さえ持てれば幸せになった・・・・」
「もっと部下思いの上司を持っていたら・・・・」
「もっと忍耐強い夫を持っていたら・・・・」
「もっと素直な子どもを持っていたら・・・・」
「学歴さえ持っていたら・・・・」
「自由になる時間を持っていたら・・・・」
これに対して影響の輪は、あることで満ちている。
「私はもっと忍耐強くあるぞ」
「もっと賢くある」
「もっと愛情深くある」
自分にとっての「よい習慣」とは何か?
では、「変えるべき習慣」「身につけるべき習慣」とは何だろうか?
それは、効果性・幸福・信頼といった長期的な価値を土台にしたものだ。
たとえば──
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約束を守る
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相手の話を最後まで聴く
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すぐに反応せず、一呼吸置く
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自分の感情を見つめる時間をつくる
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小さな成功体験を毎日記録する
こうした行動は、単体では目立たない。
だが積み重なれば、自分自身との信頼が生まれ、 周囲との関係も変わっていく。
つまり、習慣を変えることは、 自分という「土壌」を豊かにし直す作業なのだ。
習慣の変化がもたらす関係性の変化
私がかつて関わったある管理職の男性は、 家庭では無口で怒りっぽく、 職場では短気で信頼を得られずにいた。
彼は毎日、「1日1回、自分の感情を言葉にする」という小さなルールを自らに課した。
たとえば「いま少しイライラしてるけど、自分でも理由がわからない」と言葉にしてみる。
あるいは「ちょっと嬉しいな」と正直に口にする。
最初はぎこちなかった。 だが数か月後、職場の若手が彼に相談を持ちかけるようになり、 家族と話す時間も自然と増えた。
行動が変わると、信頼の質が変わる。
信頼の質が変わると、人生の深度が変わる。 これは「たったひとつの習慣」が持つ力なのだ。
習慣は「開ける扉」──自分自身への招待
習慣を変えることは、 一種の「扉を開く」ことに似ている。
それは新しい自分への扉であり、 未来の可能性に通じる扉である。
どのドアノブを握るかは、自分次第。
ドアの向こうには、 今まで気づかなかった価値観や選択肢、 より自由で誠実な生き方が待っているかもしれない。
あなたの中に眠る“変わりたいという願い”は、 きっとすでにノックを始めている。
そして、変化の扉を開けることに必要なのは、大きな才能ではない。
日々の選択の積み重ね、小さな勇気、そして「続ける力」である。
変化は小さくていい、でも止まらないこと
大切なのは、完璧を目指さないこと。
習慣は“新しく塗り替える”というよりも、 “何層にも塗り重ねていく”ようなものだ。
昨日できなかったことが今日できたら、十分前進だ。 焦る必要はない。
ただ、やめないこと。
何度でも戻ってこれる場所を、自分の中に作ればいい。
過去にどれだけ失敗していても、 今日がそのパターンを変える第一歩になり得る。
そして、習慣が根づいたとき、 自分を取り巻く世界そのものが違って見えてくる。
おわりに──あなたの扉は、開いている
今のあなたがどれだけ過去に縛られていても、 それを変える力は、すでにあなたの中にある。
効果性、幸福、信頼。
そうした価値を育む新しい習慣を、今日から始めよう。 その一歩が、あなた自身の変化と成長の扉を開く。
鍵は、あなたの手の中にある。

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