議論や意見のぶつかり合いで、こんな思いを抱いたことはありませんか。
「相手の考えは間違っている」
「自分の考えが正しいに決まっている」

そんなふうに考えた瞬間、私たちは無意識に「自分 vs 相手」の構図を作り上げてしまいます。
白か黒か、勝ちか負けか。
しかし、本当にその二択しかないのでしょうか。

実は、そこでこそ必要なのが「第3の案」を見出す力です。
これは単なる妥協や中間点ではなく、自分の内面で“シナジー”を創り出し、全員にとってより良い解決策を導き出す力なのです。


対立は「成長のチャンス」である

人は自分の経験や価値観を通して物事を見ています。
だからこそ、「相手が間違っている」と感じるのは自然なことです。

でも、そこで立ち止まってしまえば、視野は狭いままです。
違う視点、異なる価値観に触れたとき、私たちには「なぜ相手はそう考えるのか」と問うチャンスが与えられています。

それは、視点の融合──つまり「シナジー」のスタートラインなのです。


Win-Winの精神が生む「第3の案」

自分の意見を押し通すのではなく、相手の立場や思いを本気で理解しようとする。
この姿勢こそが、Win-Winの精神です。

Win-Winとは「お互いが勝つ」ことですが、ただの譲り合いではありません。
本質は、「双方が納得し、想像もしなかった解決策を生み出す」ことにあります。

「自分の意見」と「相手の意見」の間に、新たな選択肢が存在する。
そう信じて対話することで、互いの力が掛け算になり、1+1が3にも4にもなる解決策が見えてくるのです。


実績例:経営会議での突破口

以前、ある企業の経営会議に同席した際、事業の進め方を巡って激しい対立がありました。
「とにかくスピード重視で攻めるべきだ」と主張するA氏。
「慎重にリスクを分析してから進むべきだ」と主張するB氏。

双方譲らず、議論は平行線でした。
そこで、私は「どちらが正しいか」ではなく、「なぜその意見に至ったのか」を互いに説明してもらいました。

すると、A氏は「市場の流れが早く、機会損失が怖い」との懸念、B氏は「一度失敗すれば信頼を損なう」という危機感を持っていたことが明らかに。

この背景を踏まえ、「小規模で迅速なテストマーケティングを実施し、結果を見て全社展開を判断する」という第3の案が生まれました。

結果として、スピードと慎重さを両立し、事業は成功に至ったのです。


第3の案を生み出す3つのステップ

1.自分の前提を疑う

「本当に自分の考えが唯一の正解なのか?」と自問し、自分の思考の枠組みを意識する。

2.相手の背景を深く聴く

相手の意見だけでなく、「なぜそう考えるのか」「何を恐れているのか」を探る。

3.共通の目的に立ち返る

対立しているように見えても、実は共通のゴールがあるはず。
それを再確認し、その達成のための新しい手段を模索する。


まとめ:第3の案が人生と関係性を変える

私たちは、つい「正しさ」を競ってしまいがちです。
しかし、それでは関係は壊れ、可能性は閉ざされてしまう。

自分の考えと「間違った考え」の2つしか見えないとき、あなたの内面でシナジーを創り出し、第3の案を探す。
それが、人生の質を高め、人との信頼関係を深める鍵なのです。

Win-Winの精神で、本気で相手を理解しようとする。
そこから、想像もしていなかった答えがきっと見つかるはずです。