「部下が自分から動かない」「指示しないと仕事が進まない」
そんな悩みを抱えるリーダーは多いと思います。

けれど、本当に強いチームは“監視”ではなく“信頼”で動きます。
そこでは、上司と部下という枠を超え、お互いが同じ目的を目指す“パートナー”として協力し合っているのです。

その鍵となるのが、Win-Winの関係に基づく「実行協定」
これは単なる業務契約ではなく、人間関係を「対等なパートナーシップ」へと進化させる仕組みです。

この記事では、上下関係を越えた信頼型チームをつくるための考え方と実践方法を紹介します。


第1章 監視ではなく信頼でチームは動く

多くのマネージャーは、「見張っていないと動かない」と感じています。
私自身もかつてはそうでした。
進捗を細かくチェックし、ミスを防ぐことに全力を注いでいたのです。

しかし、そうした“監督型マネジメント”は、短期的には成果が出ても、長期的にはチームの主体性を奪ってしまいます。
メンバーは「言われたことだけやる」ようになり、挑戦や創意工夫が生まれなくなるのです。

リーダーの役割は「監督」ではなく「支援」。
信頼関係を土台にした仕組みを築くことで、チームは自ら動き出すようになります。


第2章 Win-Win実行協定とは何か

Win-Win実行協定とは、リーダーとメンバーが「お互いの成功を前提に」結ぶ約束のことです。
目的、役割、期待、支援内容を明確にし、それぞれが責任を持って行動するための信頼の枠組みです。

この協定は、上下関係の“命令”ではありません。
「上司が決め、部下が従う」のではなく、

対等なパートナーとして合意する関係

監督が目を光らせる必要もなく、それぞれが“自分のボス”として責任を果たす。
Win-Win実行協定は、管理を手放して成果を高めるためのリーダーシップの進化形なのです。


第3章 実行協定をつくる3つのステップ

① 目的を共有する

まず、チーム全員が目指す方向を明確にします。
「何を」「なぜ」やるのかを共有し、納得を得ることがスタートです。

② 期待と支援を言語化する

次に、「どんな成果を期待しているか」「どんな支援を約束するか」を明確にします。
曖昧な期待は誤解を生みます。
リーダーは“支援する存在”として明確に関わりを示すことが大切です。

③ 自由と責任を委ねる

やり方は細かく指示せず、メンバーに任せる。
その代わり、定期的に振り返りの時間を設け、結果と学びを共有する。
このサイクルが、信頼を強くしていきます。


第4章 「自分を管理する人」が増えるとチームは変わる

実行協定が機能すると、チームの中に「自分を管理する人」が増えていきます。

上司の指示を待たずに、自分で考え、行動する。
これは単なる“自主性”ではなく、「信頼されている」実感から生まれる責任感です。

あるプロジェクトで、私が進捗管理をやめたときのこと。
最初は不安でしたが、メンバー自身が計画を立て、お互いに助け合いながら成果を上げていったのです。
“自分のボス”として動く人が増えた瞬間、チームは一段階成長します。


第5章 信頼で結ばれたパートナーシップが生む力

上下関係の中では、人は「評価されること」を意識します。
しかし、対等なパートナー関係では、「貢献したい」という自然な意欲が生まれます。

信頼のあるチームでは、誰かが失敗しても責めるのではなく、「どうすればうまくいくか」を一緒に考えます。
その積み重ねが、強くしなやかな組織をつくるのです。

リーダーは監督者ではなく、メンバーの成長を支える“伴走者”であるべきだと思います。


まとめ 信頼がチームを動かし、結果を変える

Win-Win実行協定の本質は、「支配」ではなく「信頼」。
合意によって動く文化を育てることが、チームを自律へ導く第一歩です。

命令ではなく、対話から始める。
コントロールではなく、信頼でつなぐ。

その姿勢が、これからのリーダーに求められる最も重要な力だと思います。