「どうしてうちの社員は指示待ちなんだろう?」
「もっと主体的に動いてほしいのに…」

そんな悩みを抱えるリーダーやマネージャーは少なくない。
だが実は、その“指示待ち”を生んでいるのは、組織の空気や接し方かもしれない。

企業の成果を最大化するには、スタッフ一人ひとりの“自発性”が不可欠だ。
そのために必要なのが、PC(Production Capability=成果を生み出す能力)活動である。
今回は、私が実際に企業研修や組織変革の場で見てきた成功事例をもとに、スタッフの力を引き出す職場づくりについて掘り下げていきたい。

1章 成果を上げる鍵は「人の内側」にある

よく、企業は「成果=業績」に目を向けがちである。
もちろんそれも大事だが、そこにばかり意識を向けてしまうと、「どう管理するか」「どう動かすか」という発想になりがちだ。

だが、ほんとうの意味での成果は、人の“内側”からしか生まれない。
やらされ感ではなく、「やりたい」という思い。
評価のためではなく、「貢献したい」という動機。

これが引き出されてこそ、心と頭の中にある“最高のもの”が表に出てくる。


2章 スタッフは“見られ方”で変わる

ある企業での出来事。
売上の低下に悩んでいた店舗マネージャーが、スタッフとの関わり方を見直すことにした。

以前は「いかに指示を明確に出すか」「どれだけチェックを強化するか」に意識を置いていたが、それをやめた。
代わりに、「今日、どう感じた?」「最近、困っていることは?」と、スタッフの話を聴く時間を毎日つくった。

最初は戸惑っていたスタッフたちも、やがて表情が変わり始め、自ら提案を出すようになった。
3か月後には売上が20%アップし、離職者はゼロになった。

人は、“管理されている”と感じると力を出さない。

でも、“信じられている”と感じたとき、自発的に動くようになる。


3章 顧客と同じように、スタッフにも“敬意”を払う

多くの企業では、顧客には丁寧で誠実な対応をする。
しかし、社内の人にはどうだろうか?

「社員には厳しくして当然」
「部下に下手に出る必要はない」
そんな考えが残っている職場も少なくない。

だが、スタッフも“内部顧客”であるという発想が、PC活動の中核だ。

スタッフに対しても、
• 主体性を信じて接する
• 尊重と関心をもって向き合う
• 誠意あるフィードバックをする

こうした姿勢が、チームの空気を大きく変えていく。


4章 「自発性」は環境が育てる

「自発性は個人の資質」と思われがちだが、実は環境によって左右される要素が大きい。

あるベンチャー企業では、毎週「失敗を共有する会」を実施している。
失敗を責めるのではなく、拍手して称える文化をつくった。

その結果、「挑戦しても大丈夫」という安心感が生まれ、若手社員のアイデアが採用される機会が急増した。
この変化は、「行動を促す文化」を作ったことによって実現したのである。

人が自ら動く職場は、偶然ではなく設計された環境から生まれる。


5章 人の力を“引き出す側”になる

リーダーの仕事は、動かすことではなく、引き出すことである。
人には本来、成長したい、貢献したいという欲求がある。
その芽を潰すのではなく、伸ばす環境を整える。

かつて私が関わったNPO法人では、役職も指示もない中で、全員が自発的にプロジェクトを運営していた。
その理由を尋ねると、
「ここでは“自分が必要とされている”と感じるから」
という答えが返ってきた。

人は、力を与えられるより、「力があると信じられる」ことで、本来の力を発揮する。


おわりに

成果を出すには、管理や制度だけでは限界がある。
もっとも大きな力は、人が自発的に動くときに生まれる。

顧客に向ける誠実なまなざしを、スタッフにも向けてみよう。
その瞬間から、組織は静かに、しかし確実に変わり始める。

PC(Production Capability)とは、
「人の中にある力を信じ、引き出す営み」である。
そしてそれは、組織にとって何よりも価値のある資産となる。