「ちゃんと人の話を聴いているつもりなのに、なぜか信頼されない」
「アドバイスしてあげたのに、相手の顔が曇った」
こんな経験はありませんか?
話を聴いているようで、実は自分の話をしてしまったり、勝手に評価してしまったり――
それでは、たとえ悪気がなくても、相手は「理解されなかった」と感じてしまいます。
しかし、もしそれに気づいたなら、素直に謝ることこそが、信頼を築くチャンスなのです。
今回は、本当の意味で“聴く”ということと、間違えたときにどうやり直すかについて考えてみましょう。
1章 人の話を“聴く”とは、どういうことか?
私たちはつい、話を聴きながら――
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自分の体験を重ねて語り出したり
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相手の話の「答え」を探そうとしたり
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助言や評価を加えてしまったり
してしまいます。
しかし本当に求められているのは、「理解するために聴くこと」です。
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相手が何を感じているのか
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どんな立場にいるのか
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どんな背景があって、その言葉が出たのか
これらを相手の視点で受け止めること。
それが、本当の「聴く」なのです。
2章 自分の話を持ち出すと、何が起こるか?
相手が話している最中に、つい自分のエピソードを挟んだり、「それってこういうことだよね」と勝手に解釈したりすると、相手の心は静かに閉じてしまいます。
なぜなら、
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話題の主導権を奪われた
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理解されることより評価されることが優先された
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“聴いてもらえている”という安心感が失われた
と感じるからです。
どんなに善意であっても、“自分中心の聴き方”は、相手を孤独にしてしまうのです。
3章 気づいたら、素直に謝ればいい
完璧な聴き手になることは難しい。
だからこそ、間違えたときは、素直に認めることが大切です。
たとえば、つい自分の話をしてしまったことに気づいたら、こんなふうに言ってみましょう。
「ごめんね。君の話を本当に理解するつもりで聴いていないことに気づいた。
最初からやり直してもいいかな?」
この一言は、信頼口座への大きな預け入れになります。
なぜなら、
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自分の非を認めたこと
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相手の存在を尊重したこと
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理解しようとする意志を示したこと
これらすべてが、相手に「本当に大切にされている」と伝わるからです。
4章 「やり直し」の勇気が、関係を深める
間違いを認めるのは、勇気がいることです。
プライドが邪魔をすることもあるでしょう。
でも、関係を守るためには、プライドを捨てることが必要なときもある。
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相手に理解されたいと思うなら、まず自分が理解しようとする
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相手に歩み寄ってほしいなら、まず自分が歩み寄る
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完璧な聴き手であるより、誠実な聴き手であることを目指す
この姿勢が、長い目で見たときに、何よりも大きな信頼を築いていくのです。
5章 聴く力を育てるためにできること
深く聴く力を育てるために、次の3つを意識してみましょう。
① 「相手が話したいこと」を最優先する
自分のアドバイスや経験談を脇に置き、相手の語りたい世界に寄り添うこと。
② 評価や解釈を急がない
「良い悪い」「正しい間違い」を判断する前に、そのまま受け止める努力をする。
③ 聴き直しを恐れない
間違えたら謝り、「もう一度最初から聞かせて」とやり直す勇気を持つ。
おわりに
人の話を聴くことは、単なる技術ではありません。
相手を尊重するという、深い姿勢の表れです。
そして、たとえうまく聴けなかったとしても、気づいたときに素直に謝り、やり直すことができれば、それは大きな信頼口座への預け入れになります。
今日誰かと話すとき、もし自分の話にすり替えそうになったら、どうか立ち止まってください。
そして、「あなたを本当に理解したい」という心で、もう一度聴き直してみてください。
その一歩が、あなたと相手との間に、確かな信頼の橋をかけてくれるはずです。
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