日々の仕事や生活において、私たちは「効率」を重視しがちです。
目の前のタスクを早く片付け、予定どおり進めることに満足してしまう。
しかし、効率だけを追い求めていると、実は「本当に目指すべき方向」から外れてしまうことがあります。
効率よく間違った方向に進むことほど、無駄なことはありません。
ここで必要なのが、リーダーの役割です。
リーダーは全体像を見渡し、組織が進むべき方向を正しく指し示す存在でなければなりません。
第1章 リーダーは「高い木」に登る存在
リーダーの役割を端的に表すなら、「ジャングルの中で一番高い木に登る人」です。
全体を見渡し、進んでいる道が目的地に近づいているかを確認し、間違っていれば「違うぞ!」と声を上げる。
これこそが本質的な役割です。
多くの人は、地面に立って目の前の作業に集中しています。
そのため、リーダーが「方向が違う」と叫んでも「うるさい、作業は順調だ」と反発するかもしれません。
しかし方向が間違っていれば、努力は水泡に帰すのです。
第2章 効率にとらわれる現場の落とし穴
現場チームやマネージャーは、どうしても「効率」に目が行きます。
作業が計画通り進んでいることは安心材料になりますが、それが必ずしも「正しい方向」であるとは限りません。
効率よく間違った道を進むことは、最も非効率な行為です。
たとえば、商品の開発で市場のニーズを無視し、内部効率だけを優先した結果、完成品が誰にも求められなかったという失敗例は数多くあります。
効率と成果は一致しないのです。
第3章 リーダーとチームの視野の違い
リーダーは「全体を見る目」を持ち、メンバーは「手元の作業に集中する目」を持ちます。
両者は役割が違うからこそ、バランスが大切です。
リーダーが方向を定め、チームがその道を効率よく進む。
この二つが噛み合って初めて、成果が最大化されるのです。
リーダーがいなければチームは迷子になり、チームがいなければリーダーの指示は空回りします。
だからこそ、双方の信頼関係が欠かせません。
第4章 私の体験から学んだこと
私は以前、大規模なプロジェクトに関わった際、チームが作業効率にこだわりすぎて方向を見失いかけた場面を経験しました。
納期どおり進んでいることに満足していましたが、市場調査の結果、その方向性では顧客の期待に応えられないことが判明したのです。
私は「一度立ち止まって方向を見直そう」と提案しました。
当初は反発がありましたが、最終的に方向転換を実行。
結果として製品は市場に適合し、大きな成果を上げることができました。
この経験から、リーダーの声を上げる役割の重要性を痛感しました。
第5章 実践のためのヒント
リーダーが「高い木に登る」ためにできることをまとめます。
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定期的に立ち止まる時間をつくる:作業に流されず、全体像を見直す。
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短期効率より長期目的を優先する:目先の数字にとらわれず、本当に目指す成果を意識する。
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違和感を大切にする:小さな兆候を見逃さず、「おかしい」と思ったら勇気を持って声を上げる。
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方向転換の理由を丁寧に伝える:ただ「違う」と叫ぶだけではなく、根拠を示し、理解を得る。
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高い視点を持つ習慣を身につける:日々の読書や学びを通じて、全体を見渡す力を養う。
第6章 家庭や日常生活にも応用できる
この考え方は職場だけでなく、家庭や個人の生活にも応用できます。
家事や育児においても、目の前のタスクに追われると、本当に大切にしたい家庭の方向性を見失うことがあります。
たとえば、「子どもの宿題を早く終わらせること」ばかりに集中してしまい、「学ぶことの楽しさを伝える」という本来の目的を忘れてしまうこともあるのです。
家族というチームにおいても、リーダーは「どんな家庭を築きたいのか」という方向性を示す必要があります。
まとめ
リーダーの役割とは、単に作業を効率よく進めることではありません。
最も大切なのは、「正しい方向を示すこと」です。
効率が良くても方向を誤れば成果にはつながりません。
高い木に登り、全体を見渡し、必要ならば「違うぞ!」と叫ぶ勇気を持つこと。
これこそが、真のリーダーシップなのです。
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