成果を出そうと頑張っているのに、どこかで息切れしてしまう。
忙しく動いているはずなのに、なぜか手応えがない。
そんな経験はないだろうか。
それは「やる気」や「根性」の問題ではない。
実は、成果(P)と、成果を生み出す能力(PC)のバランスが崩れているのだ。
「黄金の卵を産むガチョウ」の寓話を思い出してほしい。
卵(成果)ばかり求めてガチョウ(能力)を酷使すれば、いずれ卵も手に入らなくなる。
逆に、ガチョウを甘やかしすぎても、成果は減る。
この両者のバランスを保つことこそ、真の効果性の本質である。
第1章 成果(P)だけを追う危うさ
現代社会は「結果主義」に傾きやすい。
営業成績、アクセス数、売上、フォロワー――。
数字で評価される世界では、「成果こそすべて」と思い込んでしまう。
私が関わったある企業では、短期的な業績向上を最優先に掲げた結果、社員は疲弊し、離職率が急上昇した。
確かに目先の成果は出たが、長期的な信頼とチームの活力を失った。
つまり、「成果(P)」を過剰に追えば、「成果を生み出す能力(PC)」を損なってしまうのだ。
体力や人間関係、創造力といった“見えない資本”を削って手に入れた成功は、やがて自分を苦しめる。
それは、燃料を使い切ったエンジンのようなものだ。
第2章 能力(PC)を育てることが、成果を支える
では、「ガチョウを守る」とはどういうことだろうか。
それは、自分や組織の“生み出す力”を育てることである。
例えば、
・十分な休息を取り、健康を維持する。
・学びの時間を確保し、知識を更新する。
・信頼関係を築き、チームの結束を深める。
これらは一見「成果に直結しない行動」に見える。
しかし、長い目で見れば、これこそが最大の投資だ。
以前、プロジェクトでリーダーを務めた同僚がいた。
彼は納期に追われながらも、毎週メンバーとの1対1面談を欠かさなかった。
「短期的には非効率に見えても、信頼が積み重なれば最終的なスピードは上がる」という信念があったからだ。
結果、チームは自主的に動き、当初の予定を上回る成果を達成した。
彼が守っていたのは“チームのガチョウ”だったのである。
第3章 バランスを見極める「判断力」こそ真の知恵
P/PCバランスを維持するには、どちらか一方に偏らない“高い判断力”が求められる。
成果を急ぐときほど、立ち止まって自問したい。
「この努力は、未来の自分を疲弊させていないか?」
「今の成果は、次の成果を生む力につながっているか?」
たとえば、仕事において「頑張る」ことは美徳だが、家族との時間を削ってまで働き続けると、いずれ心身が限界に達し、モチベーションが失われる。
逆に、自己啓発や準備ばかりで行動を起こさなければ、“卵を産まないガチョウ”になってしまう。
この二つのバランスを測るのが「効果性」の真の意味だ。
それは「成果を出すこと」ではなく、成果を出し続けるための仕組みを保つことである。
第4章 個人にも組織にも通じる“黄金律”
P/PCバランスの原則は、個人にも組織にも当てはまる。
企業が短期利益を追いすぎると、ブランド信頼を損なう。
一方で、社員教育や社会貢献を軽視すれば、長期的な力を失う。
個人でも同じだ。
自分の健康・人間関係・学びを軽んじてまで成果を求めると、心が疲弊し、創造性が失われる。
重要なのは、「短期と長期」「成果と能力」の両輪を意識すること。
つまり、“今日の成果”と“明日の自分”を同時に育てる発想である。
第5章 「休む勇気」と「続ける力」
P/PCのバランスを取るうえで、最も難しいのは「休む勇気」を持つことだ。
休むことを“怠け”と捉える人は多いが、真に成果を出す人ほど、意識的にエネルギーを回復させている。
一方で、「継続」もまた欠かせない。
健康も知識も人間関係も、1日で築けるものではない。
地道な積み重ねこそが、ガチョウを育てる最良の方法なのだ。
まとめ:効果性とは、“続けられる仕組み”を持つこと
効果的に生きるとは、ただ頑張ることではない。
成果を出しながら、成果を生み出す力を守ること。
これが、P/PCバランスの真意である。
黄金の卵(P)に目を奪われず、ガチョウ(PC)の健康を見極めよう。
そして、今日だけでなく、明日も成果を生み出せる自分を育てていこう。
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