「上司がわかってくれない」
「環境が悪いからうまくいかない」
「忙しすぎて自分の時間がない」
そう口にしたことがある人は少なくないだろう。
だが、そこに“主体性”はあるだろうか?
真に主体的な人は、自分の人生を「選んで」生きている。
環境や状況に流されず、自分の価値観に従って、行動を選んでいる。
今回は、主体性の本質と、それを育てるために必要な視点についてお伝えしたい。
1章 主体性とは「反応」ではなく「選択」
主体性がある人は、何かが起きたときに、すぐに反応しない。
彼らは、「自分にできることは何か?」とまず考える。
この姿勢の土台にあるのが、“レスポンシビリティ(Responsibility)”という考え方だ。
それは、単なる“責任”ではなく、反応する力=Response Ability(応答能力)を意味する。
たとえば、ミスをしたときに、
・「部下が報告してくれなかったから」と言う人と
・「確認しなかった自分にも責任がある」と言う人では、
同じ問題に対する“立ち位置”がまったく異なる。
前者は反応的、後者は主体的である。
反応ではなく、価値観から選択すること
2章 「環境のせい」にしている限り、変化は生まれない
「自分にはどうしようもできない」
そう思っている限り、成長も行動も止まってしまう。
もちろん、環境や状況の影響をまったく受けない人などいない。
けれど、それに“支配されているかどうか”は、自分で決めることができる。
あるクライアントは、「職場の雰囲気が悪くて仕事がつらい」と話していた。
しかし、自分ができる小さな行動――笑顔で挨拶する、ありがとうを伝える――から始めたことで、少しずつ周囲の反応も変わっていった。
環境は、変えられるかもしれないし、変えられないかもしれない。
でも“自分がどう反応するか”は、いつだって選べる。
3章 感情に支配されず、価値観に従って動く
主体性を持つ人は、自分の感情を否定しないが、それに支配されることもない。
一時的な怒り、悲しみ、不安はあっても、それをもとに行動を決めない。
なぜなら、自分の行動は価値観から生まれるべきだと知っているからだ。
たとえば、パートナーにひどい言葉を言われたとき。
感情のままに言い返すのは簡単だ。
しかし、「自分はどんな関係を築きたいのか?」という価値観に立ち返ることで、選ぶ言葉も行動も変わってくる。
これは、強さでもある。
本当に強い人は、感情を抑える人ではなく、価値観に沿って行動を選び取れる人なのだ。
4章 “できること”に目を向け続ける力
主体性を発揮する人は、いつも“自分ができること”にフォーカスしている。
問題の本質は、「何が悪いか」ではなく、「自分に何ができるか」である。
以前、私は研修中にこう尋ねた。
「この職場に変化が必要だと思う人は?」
すると全員が手を挙げた。
次にこう尋ねた。
「そのために、自分から変えようとしている人は?」
すると、ほとんどの手が下がった。
この差こそが、反応的な人と主体的な人の違いである。
変化は、外からではなく、内側から始まる。
5章 選択する力は、日常の中にある
主体性は、大きな決断だけの話ではない。
日々の小さな選択の積み重ねこそが、主体的な人生をつくっていく。
・今日、挨拶をするかどうか
・疲れていても、約束を守るかどうか
・言い訳せずに、行動を選ぶかどうか
こうした一つひとつの選択が、自分の信頼を積み上げ、他人からの信頼も育んでいく。
そしてその繰り返しが、「自分の人生を、自分でつくっている」という実感を生み出してくれるのだ。
おわりに
自分の行動は、環境や感情によって決まるものではない。
それは、自分の価値観に基づいた“選択”の結果
主体性とは、「私はこう在りたい」と決め、それに沿って選ぶ力。
そしてその力は、誰にでも備わっている。
だからこそ、今日あなたがするすべての選択は、
過去のせいでも、誰かのせいでもなく、
自分自身の意思によって決められるのだ。
“誰のせいでもない”と気づいたとき、
あなたの人生は、確かにあなたのものになる。
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