職場で問題が起きたとき、あるいは新しい課題が提示されたとき、
「それは上の人が決めること」
「自分の役割じゃない」
そんなふうに距離を置いてしまうことはないでしょうか?
しかし、本当にイノベーションや変化が起きるのは、一人ひとりが「これは自分の問題だ」と感じ、真剣に向き合ったときです。
「自分ごと」として関わることで、人は驚くほどの創造力と責任感を発揮します。
そしてその姿勢こそが、かつて世界を驚かせた日本企業の競争力の源泉でもありました。
今回は、問題解決に対する“主体的な関わり”が、いかに個人と組織の力を引き出し、社会を変えていくかを考えます。
1章 問題に「自分ごと」として関わることの意味
問題が起きたとき、多くの組織ではまず「誰の責任か」が問われます。
責任の所在がはっきりしないと、誰も深く関わろうとしなくなる。
でも、本当に必要なのは、「これは自分にも関係ある」と思って動き出すことです。
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当事者でなくても、全体の成果を意識する
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担当外のことであっても、改善の余地が見えれば声を上げる
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誰かが困っていれば、自分のスキルや知恵を惜しまず使う
こうして“問題を自分ごととしてとらえる意識”が広がれば、現場の創造力は自然と引き出されていきます。
2章 “他人ごと”の組織が陥る停滞
逆に、問題を「誰かのもの」として扱う組織には、こんな空気が漂います。
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指示があるまで動かない
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担当者だけが疲弊し、周囲は無関心
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対症療法ばかりで、根本的な解決に至らない
このような状態では、誰もリスクを取らず、知恵も湧かず、変化も起こりません。
どんなに優れた戦略を掲げていても、それを支える“現場の当事者意識”がなければ、組織は静かに停滞していくのです。
3章 創造性は「自分のもの」と思ったときに解き放たれる
誰かに押し付けられた課題ではなく、「これは自分の課題だ」と思ったとき、人の脳は活性化し、創造力があふれ出します。
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他人が思いつかない視点からアイデアを出す
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小さな違和感に気づき、改善の糸口を見つける
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周囲と連携し、より良い方法を編み出す
これは単なるモチベーションの問題ではなく、人間が本来持つ「責任感と創造性の連動性」によるものです。
そして、こうして生まれた解決策には、誰よりも強い“実行への責任感”が宿ります。
自分たちで考え、自分たちで決めたことだからこそ、「やらされ感」ではなく、「やりきる覚悟」が育つのです。
4章 日本企業が世界市場を変えた“現場力”の本質
かつて、日本企業が世界に衝撃を与えた時代がありました。
その原動力となったのが、現場の一人ひとりの当事者意識です。
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トヨタのカイゼン文化
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ソニーの技術者たちの発想力
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パナソニックの徹底した品質改善
これらはいずれも、「自分たちの仕事は、世界に通じる」と信じ、目の前の課題を“自分たちの使命”として引き受けた現場の力から生まれたものです。
管理者が答えを与えるのではなく、現場の知恵と工夫を尊重し、引き出し、支える文化。
それが、創造と競争力の源となり、結果として“世界市場の変革”へとつながっていったのです。
5章 今こそ必要なのは「考える人間」の育成
変化の激しい現代において、「言われたことだけをこなす人材」は、すぐに限界を迎えます。
これからの時代に必要なのは、
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自分で考え
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自分で問いを立て
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他者と協力しながら答えをつくっていける人
つまり、問題を「自分のもの」として引き受けられる人間です。
こうした人材を育てるためには、組織の側にも「任せる覚悟」と「信じる勇気」が求められます。
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解決策を押し付けるのではなく、問いを渡す
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失敗を責めるのではなく、試行錯誤を称える
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他責を促すのではなく、当事者意識を支える
そうした土壌があってこそ、一人ひとりの創造力は開花していきます。
おわりに
問題を自分ごととしてとらえる――
このシンプルな意識の転換こそが、創造性と実行力を根本から変えていきます。
それは、かつての日本企業が証明した通り、世界に通じる変革のエンジンにもなりうるのです。
あなたが今日直面している問題、それを「誰かのせい」にするのか、「自分の課題」として引き受けるのか。
その一歩の違いが、未来を変えるほどの大きな違いを生むかもしれません。
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