私たちは仕事の現場で、成果を出すことに日々追われています。
売上、利益、納期、数値目標。
これらは組織の存在意義を示すものであり、確かに重要です。
しかし、その成果を生み出す「土台」を見落とすと、やがて組織は疲弊し、長期的な成功から遠ざかります。

その「土台」を考える際に欠かせないのが P/PCバランス です。

  • P(Production)=成果

  • PC(Production Capability)=成果を生み出す力

短期的な成果ばかりを追いかけると、PCを犠牲にし、最終的には「死にかけたガチョウ」を後任に渡すことになります。
本記事では、このバランスをどう保ち、組織を持続的に成長させるかを考えます。


第1章 P/PCバランスとは何か

Pはわかりやすい成果です。
営業部なら売上、製造部なら納期遵守、管理部門ならコスト削減。
数字で表され、評価指標にも直結します。

一方、PCは「成果を生み出す力」であり、目に見えにくい領域です。
人材のスキルや健康状態、信頼関係、組織文化、設備の維持管理。
これらが整ってこそ、Pは継続的に生み出されます。

つまり、Pが「卵」、PCが「ガチョウ」にあたります。
卵ばかりを欲しがり、ガチョウを酷使すれば、やがて卵は産まれなくなる。
これは組織運営にもそのまま当てはまります。


第2章 PCを軽視した組織がたどる道

私がかつて関わったプロジェクトでも、短期成果を最優先した時期がありました。
連日の深夜残業、休日出勤、数字ばかりを追うマネジメント。
半年ほどは成果が上がったものの、その後は疲弊した社員が次々と離脱。
残されたチームはやる気を失い、業績は下降線をたどりました。

このようにPCを犠牲にして得た成果は、持続せず、むしろ組織の信頼や文化を壊してしまいます。
数字は達成できても、信頼を失えば再建には膨大な時間と労力が必要になるのです。


第3章 「死にかけたガチョウ」を渡す危険

組織のトップやマネジャーがPを優先し続ければ、その影響は次世代に引き継がれます。
疲弊した職場文化、不信感に満ちた人間関係、形だけの数字報告──これらは後任にとって大きな負債です。

次のリーダーは、本来の成果を出す以前に「ガチョウを健康に戻す」ことから始めねばなりません。
これは極めて非効率であり、場合によっては組織自体が崩壊するリスクを伴います。


第4章 バランスを保つための実践ポイント

では、どうすればPとPCのバランスを保てるのでしょうか。
私が実務経験を通じて効果的だったポイントを紹介します。

1.定期的に振り返る習慣を持つ

成果だけでなく、その成果を生み出す仕組みや人材の状態を定期的に確認する。

2.PCへの投資を惜しまない

教育や研修、設備投資、十分な休暇制度はコストではなく、PCへの投資と考える。

3.評価基準にPCを組み込む

四半期の売上目標だけでなく、部下育成や職場文化改善などを評価軸に加えることで、リーダーは自然とPCを意識する。

4.「余力」を意図的に残す

ギリギリまでリソースを使い切るのではなく、余力を残す設計にすることで、予期せぬ変化にも対応できる。


第5章 リーダーの選択が未来を決める

最終的に、P/PCバランスを保つかどうかはリーダーの選択にかかっています。
短期の数字を優先するか、それとも長期的な土台を育てるか。

私は、自分が後任に「死にかけたガチョウ」を渡すのか、それとも「健康なガチョウ」を残すのか、常に自問するようにしています。
これは家庭教育や地域活動にも当てはまることであり、未来に残す遺産の質そのものを左右します。


結論

P(成果)を追い求めることは必要です。
しかし、それを生み出すPC(成果を生み出す力)を犠牲にすれば、組織は持続しません。
両者のバランスを意識することで、成果は自然と持続可能になります。

リーダーの一つ一つの判断が、未来の組織の健康状態を決定づけます。
今こそ「ガチョウを大切に育てる視点」を取り戻すことが求められているのです。