「何度説明しても部下が動かない」
「方針は示したのに、組織がバラバラに進んでしまう」
そんな悩みを持つリーダーは多いのではないでしょうか。
会議では「方針は理解しました」と返ってくるのに、現場に戻れば従来通りのやり方を繰り返している。
これは、組織の“中心”が定まっていないことが原因かもしれません。
組織の中心とは、「ミッション・ステートメント」──つまり、組織全体が心から共感し、行動の指針とするビジョンや価値観のことです。
単なるお題目ではなく、一人ひとりが「自分のもの」として腹落ちする言葉でなければならないのです。
ミッション・ステートメントがもたらす結束
組織の全員が共感できるビジョンや価値観が、ミッション・ステートメントとして共有されると、組織には大きな変化が生まれます。
誰かに言われなくても、自ら考え、動き、役割を果たすメンバーが増えるのです。
なぜなら、自分の行動を導く基準が、心と頭の中にしっかりと根付くからです。
上司の指示を待たなくても、自ら判断できる。
なぜなら、「自分たちが何を大切にし、何を目指すべきか」が明確だからです。
これは、「組織がもっとも大切にする不変の中心を、全員が自分のものとしている」状態です。
この状態に至った組織は、困難な状況でもぶれず、迅速な意思決定ができ、強い一体感を持って進んでいけます。
実績例:企業変革に成功したケース
私が支援したある企業は、長年続く“指示待ち文化”に悩んでいました。
トップが方向性を示しても、社員は「上司の許可が出ないと動けない」と考えてしまう。
結果として、意思決定が遅れ、変化の波に乗り遅れることが続いていたのです。
そこで、経営陣と共に取り組んだのが、「全社員で作るミッション・ステートメント」でした。
経営理念を一方的に示すのではなく、現場社員を巻き込み、ワークショップを重ねながら、組織の価値観や目指す姿を言語化していきました。
その過程で、「自分たちはどんな存在でありたいか」「顧客や社会にどんな価値を提供したいか」を真剣に議論し、最終的に全員が納得するミッションが出来上がったのです。
この結果、社内では「自分たちが何を大切にしているか」が共通言語となり、現場の判断スピードが劇的に向上しました。
管理職も「いちいち指示をしなくても、現場が動いてくれる」と実感するようになり、業績もV字回復を果たしました。
悩み:部下が自律的に動かない理由
「部下が自分で考えず、いつも指示を待ってしまう」
そんな悩みは、組織の“中心”が曖昧なままであるサインです。
ルールやマニュアルはあっても、「何のために動くのか」「どんな価値観で判断するのか」が腹に落ちていなければ、人は受け身になってしまいます。
だからこそ、心から共感できるミッション・ステートメントが必要なのです。
それがあれば、個々のメンバーが自分の頭で考え、自ら行動する組織に変わっていきます。
今日からできる3つのステップ
1.組織の中心を問い直す
「私たちは何のために存在するのか」「何をもっとも大切にするのか」を、まずはリーダー自身が言葉にする。
2.メンバーを巻き込んで言語化する
トップダウンではなく、全員が議論に参加し、自分たちの言葉でミッション・ステートメントをつくる。
3.行動に反映する仕組みをつくる
ミッションに沿った行動を称賛し、評価する文化を根付かせることで、理念が形骸化するのを防ぐ。
まとめ:組織を動かすのは「共感された言葉」
強い組織とは、トップの指示がなくても動く組織です。
その原動力は、共感を持って全員が受け入れたミッション・ステートメントにあります。
それが行動の基準となり、一人ひとりが誇りを持って自分の役割を果たす。
その先に、ぶれない組織の力と、揺るがない成果が待っているのです。
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