「どうすれば、この問題を解決できるのだろう?」
そう悩みながら、もがく日々。
そして気づくのは、世の中には“自分の力ではどうにもできないこと”があるという事実だ。
けれど本当は、問題そのものよりも、その問題に“どう向き合うか”こそが重要なのだ。
それが「自分の影響の輪」の中に、すべての答えがあるという考え方である。
今回は、問題を整理する3つの視点と、その問題に向き合うために、どんな一歩を踏み出せばいいかを掘り下げていく。
1章 問題は3つに分類できる
私たちが直面する問題は、大きく次の3つに分類できる。
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直接的にコントロールできる問題
→ 自分の行動や習慣に関わる問題 -
間接的にコントロールできる問題
→ 他者の行動に関わる問題 -
コントロールできない問題
→ 過去、天候、社会制度、自然災害など、動かせない現実
この分類をするだけで、思考が整理される。
なぜなら、“自分の影響が届く範囲”と“届かない範囲”が明確になるからだ。
2章 直接コントロールできる問題は、自分から動く
最も解決しやすいのが、自分の行動に関する問題。
たとえば、
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朝の時間をうまく使えない
-
ダイエットが続かない
-
締切を守れない
これらはすべて、“自分が変えることで改善できる”問題である。
ある若手社員は、「プレゼンが苦手」と悩んでいたが、話し方教室に通い、毎日3分の練習を続けた。
半年後には社内コンテストで入賞。
問題を自分の影響の輪の中に引き寄せ、自らの行動を変えることで道を切り開いた。
自分が変えられる問題に対して、最初の一歩を踏み出すのは、いつだって自分である。
3章 間接的にコントロールできる問題は、影響の仕方を変える
もっと難しいのが、他人が関係してくる問題。
「子どもが勉強しない」「上司が聞いてくれない」「パートナーが変わってくれない」
こうした問題は、直接は変えられない。
けれど、間接的に影響を与えることはできる。
そのためには、自分の言動・関わり方を変える必要がある。
たとえば、部下が自分の意見を言わないことに悩んでいたマネージャーがいた。
「意見を言え」と促すだけでは変わらなかったが、まず自分から失敗談を話し、安心して話せる空気をつくるようにした。
すると、次第に部下からも発言が増えていった。
他人は変えられない。
でも、“影響を与える方法”を変えることはできる。
4章 コントロールできない問題には、態度で応える
避けようのない出来事――たとえば、病気、災害、過去の失敗など。
これらに対して、『私たちが持てる唯一の力が「態度を選ぶこと」』である。
ある日突然、予期せぬ出来事が起きたとしても、
「それをどう受け止めるか」
「それをどう意味づけするか」
「その先、どう生きるか」
これらは、すべて自分に選択権がある。
ある女性は、長年夢見た昇進が叶わなかった。
一時は落ち込んだが、「これはもっと自分を見つめ直す機会」と捉え、新しい資格取得に挑戦。
結果的に、自分により合ったポジションを得ることができた。
状況を変えることはできなくても、自分の“態度”はいつだって変えられる。
5章 すべての解決は「自分の輪の中」から始まる
問題の種類に関わらず、解決の第一歩は『“自分の影響の輪の中”にある』という共通点がある。
・自分を変える
・伝え方を変える
・受け止め方を変える
それぞれに対して、自分にできる行動を一つずつ積み上げていく。
すると、少しずつでも状況は動き出す。
そして、影響の輪は確実に広がっていく。
おわりに
問題を目の前にしたとき、
「これはどのタイプの問題だろうか?」
「自分の影響の輪の中に何があるか?」
この2つの問いを立ててみてほしい。
すぐに状況が変わらなくても、
“変えられる自分”に立ち返ることで、前に進む力が湧いてくる。
どんな問題も、答えは「自分の輪の中」にある。
その事実に気づいたとき、
私たちはようやく、“行動する自由”を取り戻すことができるのだ。
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