日常のふとした会話。
「しょうがないよ、こういう性格なんだから」
「時間がなかったんだよ」
「やらなきゃいけないからやってるだけさ」
私たちは、こうした言葉を無意識に使ってはいないでしょうか?
実はこのような言葉には、自分の人生を他者や環境に預けてしまっている“反応的な姿勢”が色濃く表れているのです。
今回は、「言葉からわかる主体性の欠如」について、反応的な言葉の特徴と、それを乗り越えるための視点をお伝えします。
第1章 言葉は、その人の「考え方」を映す鏡である
人は、自分の信じていることを言葉に表します。
逆に言えば、どんな言葉を日常的に使っているかによって、その人の思考のクセや、責任感の所在が明らかになるのです。
特に、「反応的な人」の言葉にはある共通点があります。
それは、「自分の力ではどうにもできない」という前提で語られていること。
では、代表的な反応的な言葉をいくつか見ていきましょう。
第2章 反応的な言葉の具体例とその裏にある思考
● 「僕はそういう人間なんだよ。生まれつきなんだ。」
この言葉は、“性格や気質は変えられない”という決定論に基づいています。
「自分はこうだから、仕方がない」と思ってしまえば、変わる努力を放棄してしまうのです。
この言葉の裏にあるのは、“自分には選択の余地がない”という思い込みです。
● 「それはできません。時間がないんです。」
この言葉は、時間という外的要因に支配されていることを示しています。
しかし、実際には「時間がない」のではなく、「時間をどこにどう使うかを、自分で選んでいない」だけです。
つまり、自分で決めることを他の何かのせいにしているのです。
● 「妻がもっと我慢強かったら…」
これは、他人の性格や行動が、自分の言動の制限になっていると考える典型的な例です。
他人が変わらなければ、自分も変われない。
そう思ってしまえば、いつまでも自分は被害者のままです。
● 「これをやらなければならないのか…」
この言葉は、「自分は誰かに強制されている」「本意ではない」と感じている証拠。
しかし、本当は“やる”という選択をしているのは自分です。
やらされているようで、実は「やると決めている」自分の意志があるはずです。
第3章 なぜ反応的な言葉を使ってしまうのか?
反応的な言葉の背景には、“責任を持つことへの無意識の抵抗”があります。
自分の行動や選択に責任を持つというのは、ある意味、負荷がかかる行為です。
だからこそ、人はつい、「外的要因」のせいにしてしまう。
それが「楽」だからです。
けれど、その“楽”の代償として、主体性や自己肯定感は少しずつ削られていくのです。
第4章 主体的な言葉が人生を取り戻す
では、どうすれば反応的な言葉から脱却できるのでしょうか?
答えはシンプルです。「自分が選んでいる」という前提で言葉を使うことです。
たとえば、こう変えてみます。
-
「それはできません」→「それは今は優先していないだけです」
-
「こういう性格だから」→「まだ慣れていないだけです」
-
「やらなきゃいけない」→「やると決めている」
このように言葉を変えるだけで、自分の行動への責任と自由が戻ってきます。
第5章 実践のための3つのヒント
① 自分の言葉を“録音”する意識を持つ
会話中に、「いま、どんな言葉を使っているか?」を観察してみましょう。
気づくだけで、改善の余地が生まれます。
② 「〜せざるを得ない」を「〜を選ぶ」に言い換えてみる
自分の中の「選択の余地」に光を当てる習慣がつきます。
③ 一日の終わりに、反応的な言葉をふり返る
その日使った言葉の中で、「責任を手放していた場面」がなかったかを思い出し、次に使いたい言葉を決めておきましょう。
おわりに
人は、自分が使う言葉によって、自分の人生の主導権を他人に渡すことも、自分に取り戻すこともできるのです。
反応的な言葉は、自分の可能性をせばめます。
主体的な言葉は、自分の選択をひらきます。
日々の言葉を少し変えること。
それは、人生の姿勢そのものを変えていく、小さくて、しかし確かな一歩なのです。
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