「やるべきことが多すぎて、時間が足りない」
「全部自分で抱えてしまい、パンクしそうだ」

そんな悩みを抱えている人は少なくありません。
とりわけ責任感が強い人ほど、「自分でやらなければならない」という思い込みにとらわれがちです。

しかし、冷静に考えてみましょう。
すべてのことを達成するには、結局は2つの選択肢しかありません。
「自分の時間を使って実行する」か、「人に任せる」か。

この当たり前のようで深い原則を理解し、意識的に活用している人は意外と少ない。
今回は、この視点から時間管理と成果の出し方を抜本的に見直すヒントをお届けします。


第1章 なぜ「すべて自分でやろう」としてしまうのか?

責任感が強い人や完璧主義傾向のある人ほど、「自分がやった方が早い」「クオリティを保ちたい」と思いがちです。

その結果、

  • 自分のタスクが山積みになる

  • 他人に頼めず時間が足りなくなる

  • 本当に重要な仕事に時間が割けない

という悪循環に陥ります。

これは、「他人に任せる」という選択肢を自ら狭めている状態です。
しかし現実には、自分の時間は有限。
24時間の枠の中ですべてを自分でやることは不可能なのです。

むしろ、成果を出している人ほどこの事実を受け入れ、意図的に「何を自分でやり、何を人に任せるか」を判断しています。


第2章 「自分でやる」「任せる」を判断する基本原則

では、どうやってやるべきことを整理し、実行と委任を振り分ければよいのでしょうか?

私は以下の4つの視点で判断しています。

① 価値の高い活動か?

まず、その仕事が自分のミッションや役割にどれだけ貢献するかを考えます。

自分にしかできない、または最も価値を生む活動は「自分の時間を使ってやる」。
そうでないものは「人に任せる」か、「やらない」選択も視野に入れる。

② 他人の成長機会になるか?

人に任せることは単なる手放しではなく、育成のチャンスでもあります。

「この仕事は誰にとって成長機会になるか?」を考えて任せれば、自分の時間が空くだけでなく、チーム全体の力も上がっていきます。

③ 繰り返し発生するか?

ルーチンワークや繰り返し発生するタスクは、仕組み化・マニュアル化して委任するのが基本。

毎回自分でやっていると、気づけば膨大な時間を消耗しています。

④ コストと価値のバランスは?

外部に依頼する場合はコストと価値のバランスも重要。

たとえば事務作業や調査業務など、時間単価が高い自分の時間を使うべきでない領域は積極的に外注を検討しましょう。


第3章 実践例:タスクの整理と時間の使い方が変わった事例

私が以前サポートしたある部長職の方は、毎週80時間以上働いていました。
「部下に任せられない」「自分がやらないと回らない」という思い込みが強かったのです。

そこでまず、すべてのタスクを洗い出し、「自分の時間でやる/人に任せる/やめる」の3分類を実施。

結果的に、全体の約40%のタスクは委任または仕組み化できると判明しました。

実際に委任を進めていくと、次第にチームメンバーの自走力も上がり、本人の稼働時間は50時間程度まで減少。
それでいて、部門の業績は前年比130%に向上しました。

時間を自分の時間か他人の時間に「意識的に振り分ける」。
この小さな習慣が、大きな成果につながったのです。


第4章 今日から始める「時間の最適化」3ステップ

では、誰でも今日から実践できる「時間の最適化」の基本ステップを紹介します。

ステップ① すべてのタスクを書き出す

まずは今抱えているタスクをすべて可視化しましょう。
「これもやっている」「これも気になっている」ものも含めてリスト化します。

ステップ② 4象限に振り分ける

次にそれらを以下の4象限で分類していきます。

| 高価値 × 自分しかできない | → 自分がやる |
| 高価値 × 他人もできる | → 任せる |
| 低価値 × 必須 | → 任せる/仕組み化 |
| 低価値 × 不要 | → やめる |

ステップ③ 委任先とやり方を具体化する

「任せる」と決めたものは、誰に・どのように任せるかを明確にします。
引き継ぎ資料、マニュアル、目標設定、進捗の確認方法などを整理し、任せた後のフォロー体制も整えておきましょう。


まとめ:時間は命と同じ──何に使うかを自分で選べる人になる

時間は有限です。
というより、時間は命そのものと言っても過言ではありません。

その限られた時間を、どこにどう使うか。
それを意識的に選べる人こそが、成果も自由も手に入れていくのです。

「自分でやるか、人に任せるか」──
このシンプルな問いを、毎日の判断基準にしてみてください。

きっと、あなたの時間の使い方が変わり、やがてあなたの成果と人生の質も変わっていくはずです。