日々の忙しさに追われて、「何のために働いているのか」「なぜこの選択をしたのか」がわからなくなることはありませんか?
そんなとき、私が大切にしているのは、人生の“終点”から物事を考えることです。
人生の最後の瞬間に、どんな自分でありたいのか。
何を成し遂げていたいのか。
誰とどんな関係を築いていたいのか。
終わりを描くことで、今この瞬間の行動が意味を持ち始めます。
「最後を思い描く」ことがもたらす力
多くの人は、今日のToDoリストから一日を始めます。
けれど、目の前の緊急事項に追われているだけでは、大切なことを見失ってしまいます。
もし今日が人生最後の日だったら?
今日の言葉、行動、選択は、自分の人生を代表できるだろうか?
──そう問いかけるだけで、心の深いところが静まり、人生の“本当の優先順位”が浮かび上がってきます。
私自身、仕事・家庭・人間関係において迷いが生じたときは、必ずこの問いに立ち返ります。
その結果、損得ではなく“納得”の選択ができるようになりました。
実績例:ある経営者の転機
ある50代の経営者がいました。彼は上場を目指し、寝る間も惜しんで会社を拡大させてきました。
しかしある日、親しい友人の急逝をきっかけに、自分の最期を意識せざるを得なくなりました。
そこから彼は、自分が「誰のために、何のために働いてきたのか」と深く問い直しました。
彼が導き出した答えは、シンプルでした。
「家族との時間、自分を信じてついてきてくれた社員との関係を、もっと大事にしたい」
その後、彼は経営方針を見直し、社員の声を反映した制度改革を行い、家族との時間を最優先に組み直したのです。
結果として、社員の定着率と業績はともに上昇しました。
なぜ「終わり」から始めるのか?
私たちの多くは、無意識に「途中」から人生を見ています。
たとえば、「もっと成功したい」「今より上を目指したい」という願望は、現在地点を出発点として未来を見ているにすぎません。
しかし、「終わり」からスタートする視点では、逆になります。
どんなゴールを望むのか。
どうありたいのか。
──そこから逆算して、今日の選択や行動が形作られます。
この思考の転換が、人生を根本から変えるのです。
実践法:終わりから始める3ステップ
① 自分の葬儀を思い描いてみる
誰が来てくれるか?
どんな言葉をかけてもらいたいか?
どんな人間関係を残していたいか?
紙に書いてみると、意外なことに気づきます。
「今やっていることは、本当に大事なことなのか?」という疑問が浮かんでくるかもしれません。
② ミッション・ステートメントを作る
人生の終点から逆算して、自分の信じる価値観、実現したいビジョンを書き出します。
これは日々の選択や時間の使い方に「軸」を与えてくれます。
③ 毎朝、そのビジョンを確認してから動き出す
1日の始まりに「今日は、あのゴールに近づく1日になっているか?」と問いかけてみましょう。
行動が格段に変わります。
結論:今日という一日は、最後から始まる
「人生のおけるすべての行動を測る尺度、基準として、自分の人生の最後を思い描く」
この視点を持てる人は、目の前の些細な選択も、人生の目的とつながった“意味のある行動”として捉えることができます。
時間に追われる人生から、価値観に導かれる人生へ──
その第一歩は、今日という一日を「終わり」から始めることにあるのです。
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